2015年5月24日日曜日

シオジの育つ沢



シオジ・・・ご存知でしょうか   

シオジの育つ沢


 この名前、あまり知られていないかと思います。
山あいの渓流に育つ、すらりとした大木です。
澄んだ水の流れる渓流沿いの林・渓畔林(けいはんりん)を構成する木のひとつ。
・・・・そんなこと言われてもなにやらよくわかりませんよね。
 
新緑や夏のころ、この木の育つ場所に行くと、水の流れる風景と、高くまっすぐに伸びた姿が清々しく、気持ちが落ち着く、そんな木です。
やっぱり、山の中を歩いてみなくちゃ!!


水の流れる沢沿いに育っています
 



すらりと伸びるシオジの大きな木

シオジの葉
こんな場所では洪水で流されてしまうのではと思ってしまいますが、水分があることはメリット。光を得るためにずんずんまっすぐ伸びた木・・そんな生き残り戦略を感じさせる木です。背が高くて葉は見えないので、下に生えた小さな芽生えで葉の形をごらん下さい。

木目が美しく、建築用、家具などに利用される木とのこと。利用価値があるので、ずいぶん伐採されてきたはずです。
 

初めてみたとき、まっすぐに伸びてならぶ木を、サワグルミかと思ったのを思い出します。
 この木、足尾・桐生から西、そして南の地域に分布、つまり群馬県東部が分布の限界になっています。
日本列島の西の方、太平洋側に、中古生層分布地域に不連続に見られるとききます古い時代の地層が分布する地域に見られるということですから歴史がかかわるのかなあ・・・・

こんな層状チャートも見られます
というわけで、南牧村の中古生層の岩石の分布する、清冽な水の流れる沢沿いで見かけました。


 育っている植物が違う
   ・・南牧川を境にして・・・

南牧村から下仁田西部を西から東に流れる南牧川。ここでは南には古い時代の地層、秩父帯の岩石が分布しています。川の北側では、新しい時代の岩石がみられます。
ところで、ほぼこの川を境に、北側と南側で違った植物が見られたりするというのです。例えば、アセビは南側だけにみられます。

どうしてかなあ・・・・


ギンバイソウ
右写真のギンバイソウも、古い時代の地層の地域にみられます。葉っぱがちょっと変わった形をしているので、すぐわかります。もう少しすると、白いきれいな花が咲きますよ。

昨年、林野の方々が、「南牧川の北と南で、なんとなくはえているものが違うんだよなあ」ということで、下仁田自然史館にやってきて、勉強会をひらいていました。林業関係の方にとっては、スギ・ヒノキ以外は知らないから、「雑」と十把一絡げ、とおっしゃっていました。(でも、一般の人より,すっとご存知なんでしょう。シオジのような役に立つ木はもちろん「雑」ではないでしょう)。そういえば「雑木」という文字をは私は「ぞうき」と読みますが、林野の方は「ざつぼく」とよんでいました。・




南方向に山を越えて上野村に行けば、シオジのたくさん育つ場所があり、学術保存林として、保護されています。里見哲夫さんは最近も、この林の調査に出かけられています。テントに泊まりながら。けっこうなご高齢のはずですが、すごいなあ。あやかりたいけど、ちょっと無理か。
  そういえば、上野村には「シオジの湯」という、温泉施設があります。
  シオジの木にちなんだネーミングに違いなし。
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もう少しで咲きそうなオオバアサガラの花穂
大きなトチの木にいっぱいの花
 
 
こんな地域の沢筋で見かけた植物をいくつか紹介します。

このシーズンは、花は少し 地味な感じ。

(5月中頃から末に見られるもの。今年はもう花は終わっていますね・・・)



大木になるトチの木の花
 大木いっぱいに白い花穂をつけたトチは、すぐ目にとまります。蜜源になるので、虫たちが集まっているはず。でも、梢が高くて見えない・・・こんな時は落ちた花を見てみましょう。花にぽちりと赤い部分があるのは、もう蜜のない古い花です。まだ蜜がある、つまり受粉していない花は昆虫たちに「蜜があるよ、来てね」と呼びかけます。この時は赤くはなくてクリーム色。虫も花も、お互い無駄なことをしなくてすむように、サインを出しているというわけ。なかなか工夫してるね。

地面に落ちたトチの花
 
谷筋で目立つ白い花にはヤブデマリもあります。

 緑が日増しに濃くなり、梅雨が間近くなるころの山には、白い花が多いような感じがします。


     



ヤブデマリの花


ヤブデマリの花

林床にも草花が咲いています。ひっそりと、あるいは少し華やかに。
黄色いヤマブキソウは明るく軽やかです。


フタバアオイ 徳川家葵のご紋はこの葉がモデル
フタバアオイはあちこちで見かけます。



フタバアオイの花
ラショウモンカズラ



ヤマブキソウ
クワガタソウ
サツキヒナノウスツボ

左の写真の花、いままで見たことありませんでした。

ミヤマハコベ

関東西部から中部地方にポツポツと隔離分布しているということで、「ある所にはあるけれど、どこにでも見られるものでもない」、との解説がありました。なるほど、あまり見かけないわけです。サツキヒナノウスツボという名前も、聞いたこともありませんでした。
 
山地の谷沿い湿地にはミヤマハコベの小さな花もよくみかけます。道の脇にはウツギの白い花も。
 
オドリコソウ
 
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 自然の豊かな山の地域を歩けば、絶滅危惧種の植物も目にとまります。
でも、花がきれいだったりすると根こそぎ持って行かれてしまうことも多く、やたらと紹介するわけにはいかない、という現実があります。
 東京周辺に住む方から聞く話は「昨年はキンランが何十本も盗掘にあった」「100本以上のウバユリの実が業者の種子採集の目的できりとられていた」など・・道端のギンランを見て、「知られないようにとつぼみを切り取っておいたのに、今年、やっぱり堀りとられてしまった」という人も。他にもいくつもそんな例が・・・
 下仁田ではたくさんの絶滅危惧種も育っています。自然豊かな沢沿いにも、岩場にも、民家の近くの林にも。あちこちに。
 
 皆さん、取らずに、写真で撮るだけにしてくださいね。車で簡単に移動できるようになって、道路も良くなって、多くの人があちこちに簡単にいくことができるようになり、掘り取ったり、また業者が採取したりということが増え、最近の植物の減少は著しいものがあります。
 分布地を守っていきたい。心から思います。 
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麦秋の季節です。
 今年はカラカラに乾く日が続き、麦も干あがりそう。
小麦 この地域のものはうどんに向いています
六条小麦 麦茶や押し麦に使うそうです
 
竹の秋
 
  竹やぶが近くにあったら,ふっと気づいたことありませんか。何だか竹の葉が薄茶色っぽかったり、サラサラと散っていることがあるのを。5月末から6月にかけて、竹は葉をたくさん落とします。「竹の秋」とよびます。きれいな言葉だと思いませんか。
 群馬は養蚕の盛んだった県です。農家の家のまわりには竹林があり、その竹で養蚕道具をつくりました。桑摘みカゴ、蚕棚・・・もちろん、生活用具もたくさんつくりました。家の周囲には竹垣も。私の周囲の80歳代以上の方には,上手に竹細工をする方が何人もいました。

 この竹は食用に売られている孟宗竹ではなく、マダケです。マダケと孟宗竹と,葉を落とすのはいつだったかなあ・・・きにとめていなかったので、ちゃんとはわからない・・・
 マダケのタケノコはこれから頭を出し始めます。ちょっと苦みがある、独特の味です。最近は野菜の直売場があちこちにでき、農家の方がシーズンになると出荷しています。このタケノコが食べられることを知り、味わうようになってきた人もふえてきているようです。
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口之永良部島の噴火、テレビの映像をつくづくと見ていました。
自然のすごさと、自然を知ることの大切さを思いながら・・
  群馬県人としては、草津白根は、浅間山は・・・と思いつつ。
 

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