2013年12月11日水曜日

岩石の色について

季節のたより

「霜柱の花」   下仁田 金剛萱にて ( 11月30日のはなし)
  寒くなりました。金剛萱では一足早く、長い霜柱が成長していました。
  霜柱になる水分は地面の下からやってきました。土の隙間を伝わって、毛細管現象で水が下
  から上へ上がってきて凍ります。そのためには土にはちょうど良い隙間がなくてはいけません。
  火山灰からできた赤土はこの条件にぴったりで、長い見事な霜柱が誕生します。
    火山灰がたっぷりつもってできた金剛萱の地面は、霜柱の成長に向いているわけ。
          でも、地面を見る調査には不向きな日になりました。

写真の霜柱は2段になってみえます。これは、成長した日が違うことをあらわしています。



岩石の色について
              岩石の色って、どうやって決まるの?
  
何かを見るとき、まず色に注目がいくものです。
色とりどりの花々なら、色はその美しさの決め手にもなります。
その点、岩石は何だか地味・・・灰色が基調・・・・・・とはいえ、その気になってながめると、
それぞれの異なった色合いがあります。
ではこの色は、岩石の区別の要素になるか・・・・・・といわれれば、なったり、ならなかったり。
何とも歯切れが悪い話。そこで具体的にみていくことにします。


1,<チャートの色> 
   含まれる微量成分により、いろいろな色がつきます。



   ただし、色のつき方には他の要素もあるので、「主な原因」と考えてください。
      (チャート以外の岩石についても、同様です)。

石の分布地域に行って写真を撮ればいいのですが、なかなかそうもいきませ
   ん。ここでは近所のお宅の庭にある石の写真だったりします。
でも、こうして見ている
       と、身近にいろいろ石が使われているのに、気付いたりして

   それも収穫です。


---------------------- チャートの成分は石英           石英の結晶で整った形で透明
           ものが水晶。
           石英の塊は白色にみえます。

 ということでチャートは白色に
  





左写真は赤いチャート。

系統の色------------ 鉄が酸化して(酸素とくっついて)できた鉱物をわずかに含むとき、チャートは赤い色になります。。含まれるのは赤鉄鉱FeOなどだそうです。
成分に酸素が入っているので、酸素の多い環境でできたと推測されるとのこと。大陸から風に乗ってきた火山灰が少しだだけ混ざり赤色になった、とかいわれるようです


灰色~黒--------------- 炭素化合物や硫化鉄を含んだもの。
 

こういうものを含むのは、酸素の少ない環境でできたからといわれます。
(堆積物中の酸素が少なくなると嫌気性細菌の働きで硫化水素が発生します。
硫化水素と鉄は反応して硫化鉄をつくります。いわゆるドブの臭い(硫化水素など)と黒い色
(硫化鉄など)が生じるわけです。炭素(C)は黒い色をしていますが、酸素が多ければ最終
的には二酸化炭素(CO2)になってしまい、黒い色の原因にはなりません。)

            灰色では、イライトという粘土鉱物を含むものもあるとのこと。

緑っぽい------------ 緑泥石を含むものだそうです
  

下仁田では栗山側上流の奥栗山渓谷に赤いチャートが、南牧川上流の蝉の渓谷には白っぽいチャートがみられます。黒色のチャートの場所もあり、どこのチャートが何色か、ちょっと目をとめてみようかな。




2,<結晶片岩の色>

 青岩の青緑色
青緑色の鉱物をたくさん含むために、この色に見えます。
青岩と同じ石はしばしばこのように利用されている
青岩の石には(りょく)(でい)(せき)という青緑色がかった色の鉱物がたくさん含まれています。
   黄緑色なら緑れん石という鉱物と考えられます。

玄武岩質の石が
低温高圧型の変成作用をうける→緑泥石などの鉱物が生じる→青緑色の変成岩になるという仕組みです 


  様々な結晶片岩の色について   
もとになった「石の種類」と受けた「圧力」と「温度」によってどんな結晶片岩になるかが決まります。それぞれできる鉱物が違い、その鉱物の色が違うため、違った色の石になります。
    下仁田ではほとんどが青緑ですが、長瀞などに行くと、違った色も見られます。





甘楽町の楽山園・三波石がたくさん使われている






写真ではわかりにくいですが、違った雰囲気の色をしているのがおわかりいただけるでしょうか。




<原岩>       <予想される色と、形成される変成岩の候補>
玄武岩質の岩石から変化------------ 青緑色などに
(緑色片岩になる。塩基性片岩・苦鉄質片岩などという呼び名もあり、ほぼ同じようなものをさしている)
下仁田の青岩はこの仲間です。 
泥質の岩から変化---------- 黒色 その他・・
(泥質片岩・黒色片岩・石墨片岩などと呼ばれる石になる。
細かい白雲母(絹ウンモ)がたくさんできると、きらきらみえるかも
砂質岩から変化·········    白っぽい石になる。砂質片岩、石英片岩・珪質片岩

チャートから変化 ·······  白っぽい。 石英片岩・珪質片岩
ピンクがかったものは紅れん石片岩(紅れん石という、マンガンを含むピンク色の鉱物を含んでいるため)で、石英片岩の一種。

・・・用語・名前がいろいろあって、ちょっと混乱してしまいます。
正直いって、よく区別ができません。
でも、みんなきれいな石ですね。


<追記>秩父の長瀞にある県立「自然の博物館」に行ったら、結晶片岩と色の関係が、表になっていました!!  もっと早く行くんだった・・・というわけで、その表をのせます。





群馬絹遺産群の一つ高山社は結晶片岩の分布域にある。この施設の石垣は青緑色の結晶片岩を積んでいる 






  
3<荒船溶岩の黒光りする色>

・・・・安山岩だが、色は真っ・・・・

荒船山の山頂にある荒船溶岩の岩石名は「玄武岩質安山岩」。
安山岩はふつう灰色の石ですが、荒船溶岩は真っ黒く、安山岩というより玄武岩のようにみえます。いくら「玄武岩質」とはいえ、「安山岩」というには黒すぎるのでは・・・ 

「黒色」の理由は? 
 この溶岩がガラス質であるため、黒く見えるということです。
ガラスというと無色透明と思うでしょうが、天然ガラスの黒曜石(石器に使われた石)は真っ黒です。

黒曜石の成分は「流紋岩」という白い石と同じです。それなのになぜ黒いのか?
これは石がガラス質のため。(よくわからないなあ・・次の項目、「黒曜石の色」を読んでください)。
地上に出たマグマが冷えると流紋岩、その時、急速に冷えると結晶になる時間がなくてガラスになり、石の名前は黒曜石になるという関係になります




ガラス質安産岩 
左が荒船溶岩の顕微鏡写真です。
すぐ下の写真は荒船風穴近くでみられた安山岩です。ガラス質で黒っぽい色の安山岩でした。
さらに左下の写真は荒船風穴をつくっている安山岩です。
ガラス質ではありません。

ガラス質の安山岩では、大きめの結晶(斑晶)のまわりには結晶がほとんどみられません


ガラス質安山岩
いちばん下の写真では、斑晶のまわりには小さい結晶がびっしりです。ここが大きな違い


小さくても結晶があれば顕微鏡で見えますが、ガラス質は「結晶がない」ので、顕微鏡でも見えず写真にも写らないというわけです。
       
荒船風穴付近の安山岩
薄片作成・顕微鏡撮影  
 中島啓治さん




考古学の世界では荒船溶岩は「黒色安山岩」と呼ばれています。この種類の石は群馬県には3カ所あります。八風山(はっぷうさん)のものは石器としてよく使われました。 
       


                                 発掘情報館資料展示室解説資料 より



 4,<黒曜石の色について>

急速に冷えたため、結晶をつくる時間がなく、非晶質のガラスになったのが黒曜石。(ガラスとは 理科的に言えば、「非晶質の固体」の一種です)

黒曜石のかけら と ペンダント
黒く見えるのは黒い物があるわけではなく、鉄分を含んだ着色ガラスが光を吸収してしまうためだそうです。結晶ができると、結晶が先に鉄を取り込んでしまうためにガラス質の部分には鉄分がなくなり、色が白くなっていく、とのことです。

わかったようなわからないような話になってしまいましたが・・・

石器時代の人は、石をよく観察していたのでしょうね。











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